よくケガをしてこういう風なことを聞きます。
「足首捻挫したから、病院行ってきました!レントゲン撮って、靱帯が損傷してると言われました!」
はっきり言ってこれだけで靱帯が本当に損傷しているのかどうかは分かりません。
レントゲンは骨折してるのかどうかを調べる診察方法です。
正直言って、どれが何を調べるのか分からなかったことがよくあるのではないでしょうか?
今回は、『レントゲン』『MRI』『CT』の違いを知り、病院にいってきちんと説明してもらい、ケガをしてからの治療過程、リハビリ過程を決めることができるように学びましょう!

それぞれの検査の違いについて
ケガをした際に病院で「レントゲン撮った」「〇〇撮った」などをよく聞いたことや実際に撮られたことはあるかと思います。
それぞれの撮影で分かるものがあったりします。
「このケガの時にこれを撮影しても分かれへんやん!」というのもあるので、最低限の「レントゲン」「MRI」「CT」の違いについて解説します。
レントゲン

X線という放射線を使って身体の内部を画像化する撮影です。
レントゲン撮影で分かることは
- 骨折の有無
- 関節や骨の異常の有無
- 胸部の検査
- 腹部の検査
などがレントゲン撮影で分かります。
この中でもスポーツ現場で特に使われる理由としては、『骨折の有無』と『関節や骨の異常』です。
これらを確認して、骨に異常があるのかを知ることができます。
メリット
切らずに体内の病気や骨の異常などが分かる。
早く撮影ができ、結果も分かる。
デメリット
軟部組織が分からない。
身体には問題となるレベルでは全然ないが少なからず、被曝する。
MRI

MRIは強力な磁石と電波を使って身体の断面を画像化する撮影で、レントゲンでは分からないことを調べることができる撮影方法です。
MRIで分かることは以下の通りです。
- 筋肉や靱帯の異常
- 軟部組織の異常
- 半月板損傷
- レントゲンでは分かりにくい骨折
- 関節炎
- 腫瘍
などです。
骨折の中でも疲労骨折などはMRIが得意とするケガです。
半月板損傷や靱帯損傷などはスポーツ現場でもよく起き、その場合レントゲンではなく、MRI撮影でないと分からないケガになります。
メリット
筋肉や靱帯などの軟部組織を鮮明な画像にて診察することができる。
レントゲンでは分からない骨折が分かる。
被曝する恐れがない。
検査で痛みを感じない。
デメリット
閉所恐怖症の人は辛い。
時間が長い。
身体内に金属が入ってる人はMRI撮影ができない。
CT

CTとは人体の中を輪切りで見ることができる撮影方法です。
CTではレントゲンよりもより細かく微細な骨折まで診察することができます。
CTで分かることは以下の通りです。
- がん
- 脳出血
- 微細な骨折
- 血管系
などです。
スポーツでいうと、レントゲンでは映らない骨折や、脳震盪を起こした時に脳出血などがないか調べるときにCTを撮ります。
軟部組織なども撮影することができますが、MRIの方が優秀です。
メリット
広範囲の撮影をすることができる。
短時間で済む。
細かな異変まで分かる。
デメリット
被曝する。(レントゲンよりも多い)
造影剤を使用した際の副作用。
スポーツ現場で使える怪我別例
今回スポーツ現場でちらほら見られる、『足首の捻挫』『ハムストリング肉離れ』『前十字靭帯、半月板損傷』の際にどの撮影が好ましいのかを解説します。
足首の捻挫

この場合、撮影するのは「レントゲン」と「MRI」です。
まずレントゲンで『骨折があるかないか』を検査します。
骨折があると治療方針なども変わるからです。
その次MRIで『靱帯がどれくらい損傷されているか』を診察します。
ケガをしたときにまず疑うことは『骨折』があるかないかです。
レントゲンで骨折がないのを確認し、MRIで靱帯損傷を確認します。
そこで初めてこれからどういう治療をし、リハビリしていくかが決まります。
また、靱帯損傷と思われていたが、なかなか痛みが引かない場合は「CT」を撮り、細かい骨折がないかなどを診察します。
ちなみに足首を捻挫して、「レントゲンだけ撮ってきました!靱帯傷めてるって言われました!」と元気よく報告してくれる人がいてるのですが、厳密にいうと、
「レントゲン撮ってきました!骨には異常ないとのことです!」
という報告が正しいということになります。
「MRIも撮ってどこの靱帯がどれくらい傷んでる。」という報告があれば完璧です。
なので、レントゲンだけではなく、MRIも撮影してもらうようにしましょう。
ハムストリング肉離れ

この場合はMRI撮影をして、診察してもらってください。
「肉離れでMRI?」と思われると思いますが、MRIでないと分からないです。
何が分かるのかと言うと、ハムストリングでもどこが肉離れしているのか、どれくらいの損傷度合いなのか、筋肉が傷んでいるのか、腱が傷んでいるのかなどが分からないと治療方針、リハビリ方針が決まらないです。
そのため、MRIを撮って、どこが傷んでいて、どういう状態なのか把握をしておいてください。
ちなみに実は重要なこととして、肉離れは、肉離れをしてから
次の日
に病院に行って、MRI撮影をしてもらってください。
理由としては、ケガをした日にいくと映らないからです。
前十字靭帯・半月板損傷

この場合もMRI撮影をしてもらってください。
レントゲンでは何も分かりません。
ドクターによってはCTも撮影して、細かな骨折がないのか調べる先生もおられます。
が、まずはMRIで診察してもらいましょう。
比較表
検査名 | 検査できる部位 | メリット | デメリット | よく使う例 |
---|---|---|---|---|
レントゲン | 骨 | 早い 骨の異常が分かる | 靱帯などは不可 微細だが被曝する | 骨折や脱臼 |
MRI | 靱帯、肉、軟部組織 | 細かい部分が分かる 被曝しない | 時間が長い 圧迫感がある | 靱帯損傷 半月板損傷 |
CT | 骨、脳出血 | 骨の細かな異変 早い | 被曝する 副作用あり (造影剤使用時) | 疲労骨折 頭ぶつけた時 |
まとめ
『レントゲン』『MRI』『CT』では、診察できるケガの項目が変わってきます。
目的や分かることも違うので、「〇〇だけ撮影していたら大丈夫!」というのはないです。
ケガの目的にあった撮影をしてもらい、診断してもらいましょう。
「レントゲン撮って捻挫って言われました!」ということがないように、レントゲンとMRIを撮影してもらい、どれくらいの損傷具合なのか、〇〇できるまでどれくらいなのか、どこの靱帯が損傷しているのかなどをきちんとドクターから聞いた上で、チームのトレーナーなどに話をし、復帰までのプランを組みましょう。
ただ病院行くだけでは意味ないです。
病院に行き、どの診察をしてもらい、説明を受け、どういう風に治療方針やリハビリ過程を組んでいくかが重要になります。
ケガはしたくないものですが、ケガをしたときのために備えておきましょう。
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